南海トラフ地震臨時情報、いつ、どこから流れるのか

南海トラフ地震の発生可能性が高まったときに「南海トラフ地震臨時情報」という発表が行われます。

この情報は南海トラフ地震の危険地域に住んでいれば一度は聞いたことがあるフレーズだと思いますが、しかし「南海トラフ地震臨時情報」がいつ、どこから流れてくるのかを知っている人は少ないでしょう。

「南海トラフ地震臨時情報」は南海トラフ地震を予測するものではなく、「平時より危険が高まっている」ことを知らせるもので、さらに地震発生後の事後に発表されるものなのです。

「南海トラフ地震臨時情報」はいつ発表されるのか

気象庁では南海トラフ地震の想定震源域や周辺の状況を確認しています。ここで異常が発生したときに「南海トラフ地震臨時情報」が発表されます。「南海トラフ地震臨時情報」が発表されるまでの流れは下記のとおりです。

「南海トラフ地震臨時情報」発表までの流れ

  1. 南海トラフ地震の想定震源域や周辺で大規模地震など異常が観測された
  2. 【5~30分】直後に臨時の評価検討会を開催、南海トラフ地震との関連性を調査
  3. 【最短2時間】「南海トラフ地震臨時情報」を発表

「南海トラフ地震臨時情報」の異常観測の内容

南海トラフ地震に関連する異常が観測された場合に「南海トラフ地震臨時情報」が発令されます。異常な事象は下記の3種類です。

半割れケース

M8.0以上の地震発生の場合が該当。既に南海トラフ地震が発生しています。直接的な被災地域では東日本大震災と同じ最大クラスの地震(M9)が発生した場合と同程度の揺れ・津波が発生しています。揺れは震源に近いところが強い一方で、津波は広範囲に渡って被害をもたらします。
⇒内閣府による「半割れケース」の場合の被害想定と流れの資料

一部割れケース

南海トラフの想定震源域の一部のエリアが破壊され、南海トラフ全域ではなく一部に被害が出ている状況。一部割れケースは直近100年で7回、15年単位で発生しています。

1931年11月2日、M7.1、震度5、津波85cm
1941年11月19日、M7.2、震度5、津波1m
1948年4月18日、M7.0、震度4、津波50cm
1961年2月27日、M7.0、震度5、津波50cm
1968年4月1日、M7.5、震度5、津波240cm
1984年8月7日、M7.1、震度4、津波18cm
2004年9月5日、M7.1、震度5弱、津波66cm

一部割れケースは2004年以降発生していないため、15年周期を考えると2019年以降であればいつ一部割れケースが発生してもおかしくない状況です。
⇒内閣府による「一部割れケース」の場合の被害想定と流れの資料

ゆっくりすべりケース

地震動を感じることなく、また津波も発生しません。このことから普通に生活しているとまったく気づかないのが「ゆっくりすべりケース」です。これをもとに評価が行われ、南海トラフ地震との関連性があるとされた場合に「南海トラフ地震臨時情報」が流れます。

「南海トラフ地震臨時情報」は、大きな動きがあってから発表される可能性が非常に高い

これを見ると分かる通り、何かの予兆を発見するのではなく、「大規模な地震」などが観測されてからそれを調査し、南海トラフ地震との関連性を断定するまでの時間がかかります。

調査して評価するのに最大で30分かかってしまい、「南海トラフ地震臨時情報」が発表されるまでには最短で2時間もかかってしまうので、「南海トラフ地震臨時情報」が私たちのもとに流れてくるまでに、南海トラフ地震が大きく発生してしまっている可能性があります。

要するに余震などの予兆なく、一気に巨大な南海トラフ地震が起きてから「南海トラフ地震臨時情報」発令のための「評価検討会」が開かれる可能性があるからです。ただし明らかに巨大な地震の場合は「南海トラフ地震臨時情報」が発令されなくても誰もが南海トラフ地震を疑わないでしょう。

「南海トラフ地震臨時情報」は予測警報ではなく、被害を最小に抑えるための発令

ここまで読んで「南海トラフ地震臨時情報」はほぼ意味がないと思う方がほとんどでしょう。いきなり南海トラフ地震が発生してしまってから「南海トラフ地震臨時情報」を出されてもまったく対処のしようがないからです。

しかし「南海トラフ地震臨時情報」が流れることによって、後発の被害拡大を最小限に抑えるものとして活用されます。

南海トラフ地震は東と西でタイムラグがある

南海トラフ地震は過去の事例から見ると東側で先に発生し、続いて西側でも巨大地震が発生します。そのタイムラグは明確ではなく、数時間後から数日後などの範囲で時差があると考えられています。

逆に西側から先に南海トラフ地震が発生することも考えられますが、その場合はすでに東側でも大きな被害が発生し津波が発生していることが予測されるそうです。

過去の南海トラフ地震の発生タイムラグ

1854年 南海トラフの東側で地震が発生⇒約32時間後西側でも地震が発生
1944年 南海トラフの東側で地震が発生⇒約2年後に西側でも地震が発生

このようにタイムラグはかなり幅があるので、どちらかで大きな地震が発生したらどちらかでまた発生することが想定されています。先に大きな地震が発生したら、また大きな地震が近いうちに起こる確率は非常に高く、常に警戒することを通達するためのものが「南海トラフ地震臨時情報」です。

南海トラフ地震は1回で終わらず、短期間に同等の地震が起きる地震であることを認識しておく必要があります。

「南海トラフ地震臨時情報」をどうって知るのか

「南海トラフ地震臨時情報」の発表はどうやって知ることができるのでしょうか。

各自治体、内閣府のサイトに詳細は記載されていませんでした。とりあえず「発表」することは間違いありません。おそらくテレビのニュース、ネットのニュース、各自治体の野外に設置されたスピーカーからの防災放送、もしかすると携帯電話の地震速報に組み込まれる可能性もあります。

ちなみに、「南海トラフ地震臨時情報」が発表される前に、南海トラフ地震クラスの巨大地震が発生する場合、携帯電話が一斉に鳴る「緊急地震速報」が「南海トラフ地震臨時情報」よりも先に流れます。

正直「南海トラフ地震臨時情報」の発表よりも緊急地震速報とその後の尋常じゃない揺れ、倒壊、津波で即時南海トラフ地震が起きたと認知するでしょう。